春の陽気に誘われて、今日はふらりと加布里公園まで足を伸ばしてみました。とはいえ、足といっても今回は“壊れかけの自転車”が相棒。ギシギシと不安な音を立てながら、国道202号線を西へと向かいました。ペダルを踏むたびに「頼むぞ…あともうちょっとだけ頑張ってくれ」と心の中で祈りながら、見えてきたのは春の光を浴びた田園と、ほぼ満開の桜の風景。加布里漁港の近くにある加布里公園は、そんな小さな冒険のゴールにふさわしい、穏やかな空気の流れる場所でした。

桜舞う加布里公園へ

道中、民家の庭先に咲く菜の花や、畑のあぜ道にひっそりと咲く野草たちに、春がゆっくりと根を張っていることを実感しました。桜もきっと、あの公園で咲いてるはず…そう思うと、自然とペダルを踏む足にも力が入ります。やがて潮の香りが風に混じりはじめ、加布里漁港が近づいてきたことを知らせてくれました。坂をゆっくり登ると、静かに佇む加布里公園の入り口に到着。どこか懐かしい空気に包まれながら、ゆっくりと園内を歩き始めます。

ミツバチの花の蜜集め

今日、加布里公園に来たのは「桜」と、もうひとつ「養蜂箱」の観察が目的でした。園内の片隅に設置された巣箱では、小さなミツバチたちが箱を出たり入ったりと忙しそうに飛び交っていて、その姿をじっと眺めるのもまた楽しいひととき。羽音は静かで、むしろ自然の営みのひとコマをそっと見せてもらっているような気持ちになります。

空を見上げると、青空を背景に大きく旋回する一羽のトンビ。「ピーヒョロロロ〜」という鳴き声が山と海のあいだに響き、まるで日本昔ばなしの世界に迷い込んだかのよう。桜の風景に音の情緒を添えてくれているようで、思わず立ち止まってその姿を見上げました。

春の日差しが降りそそぐ一日

公園の桜は、まさに今が見頃。満開手前のやわらかい花びらが、春の陽に透けてゆらゆらと揺れています。ベンチに腰かけて、途中で購入した「アクエリアス」をごくごく飲みながら、ただただその風景を眺めて過ごす時間は、なんとも贅沢でした。

ふと周りを見渡すと、持参したお弁当や飲み物を広げて仲良く談笑しているカップルの姿、桜の小枝をそっと手に取りながらゆっくりと散歩を楽しむお年寄りたち、そして広場でボールを追いかけながら元気いっぱいに遊ぶ子どもたち…。それぞれの春が、ひとつの公園でやさしく重なり合っているのを感じました。

加布里公園に舞うソメイヨシノ

さらに耳を澄ませば、すぐそばの加布里海岸から女子中学生たちの楽しげな笑い声が聞こえてきます。制服姿のまま靴を脱ぎ捨てて、砂浜ではしゃぐ姿がまぶしくて、まるで青春そのもの。その笑い声が、春の風に乗ってゆるやかに公園まで届いてきます。

子どもたちの笑い声、トンビの鳴き声、そして寄せては返す波の音が交わって、この瞬間だけの春の音楽ができあがっていました。そして、ふと見上げた桜の枝に、一羽のスズメが止まってじっとこちらを見ていました。「また来年も見に来いよ」…なんて言われた気がして、思わず口元がゆるみます。帰り道、自転車は案の定またギシギシと文句を言い始めたけれど、不思議と気になりませんでした。桜に会えて、蜂たちの営みを見て、トンビの声や青春の風景にも出会えて、心がふわりと満たされた一日でした。

加布里公園 – グルメ

儂CAFE糸島 

加布里漁港内で、海を一望できるロケーションで拘りのコーヒーが楽しめます。また、メニューには焼酎やハイボールなども揃っています。そして、夕暮れ時は美しい夕焼けを眺めながら美味しいコーヒーを楽しめます。

カキ小屋住吉丸 

糸島の海で獲れた新鮮な牡蠣と海鮮たちを、思う存分召し上がることができます。また、人気の干物は地元の加工場から毎朝運ばれてきています。加布里湾で育った、牡蠣は海の栄養をたっぷり吸収して育っています。

加布里公園への行き方

自動車:前原インターより約15分(博多駅より約40分 / 天神より約35分)

駐車場:100台可能(土日祝2時間まで)

バス:昭和バス「博多バスターミナル」 ⇔ 「加布里 東口」徒歩約5分

電車:JR筑肥線 加布里駅 → 徒歩約24分