空の向こう、宇宙のなかに、ぽつんと浮かぶ青い星――それが地球。私たちが生まれ、育ち、笑って暮らすこの場所は、数えきれない星々の中でも、ひときわ特別な“命の星”です。今回は、そんな「地球ってどんな星なの?」という素朴な疑問から始まった、夜の小さな会話たち。宇宙のことを知れば知るほど、ふしぎと、地球のすごさが見えてきます。

第4話 地球―わたしたちの青い星

糸島の海辺にひっそりと開くバーに、宇宙にくわしい天の川教授がやってきました。子どもたちのまっすぐな質問に、やさしく、ときに熱く答えてくれる物語です。星や月を見上げながら、「宇宙ってなんだろう?」を一緒に考えてみませんか。

レンくん 01
レンくん

ねえ天の川さん。地球って、宇宙のなかでどんな星なの?

レンくんが不思議そうに聞いたあと、ひかりちゃんが続けた。

ひかりちゃん 01
ひかりちゃん

ほかの星と、なにがちがうの?

海辺のカウンターで、グラスの水にうつる光を見つめながら、天の川教授はゆっくりと口を開いた。

天の川教授 01
天の川教授

地球はね、命が生まれて育つ星なんだよ。

宇宙にはたくさんの星があるけれど、今のところ、水が流れて、空気があって、生きものが暮らしている星は、地球だけ。それって本当にすごいことなんだ。まず、地球には空気(大気)がある。この空気があるから、空が青く見えるし、風が吹くし、雲もできる。雨が降って、川が流れて、植物が育つ。そして、この空気(大気)のおかげで、太陽の強い光や宇宙からの放射線を防いだり、温度をちょうどよく保ってくれたりしているんだ。

それから、重力。地球の重力があるから、海は地面にとどまり、人もものも空に飛んでいかない。月の6倍もの強さで、ぼくたちをこの星につなぎとめてくれてるんだよ。もうひとつ。地球はちょうどいい場所をまわっている。太陽との距離は約1億5,000万km。暑すぎず、寒すぎず――生命の星にぴったりのポジションなんだ。この絶妙なバランスが、奇跡を作った。

わたしたちの青い星―地球

地球はカラフルでキラキラと輝いてる

それから、地球には色がある。青い海、白い雲、緑の大地、夕焼けのオレンジやピンク。宇宙に浮かぶたくさんの星の中でも、地球ほどカラフルな星はそうそうない。月や火星はグレーや赤茶色ばかり。でも地球は、太陽の光を浴びて、キラキラと命の色で輝いてる。そしてなにより――生きているってこと。虫も鳥も魚も、草も木も人間も、みんながそれぞれの時間を過ごしてる。その営みがすべて、地球という舞台で繰り広げられてるんだ。

ひかりちゃん 01
ひかりちゃん

じゃあ、地球の外から見ると、どんなふうに見えるの?

宇宙飛行士が宇宙から見た地球のことを、ブルーマーブル(青いビー玉)って呼んだんだ。青くて丸くて、光ってて、まるで宝石みたいに美しいんだって…そしてね、もう一つ。宇宙から見ると、地球には国境線も、人の声も争いも見えないんだ。見えるのは、ただの一つの美しい星――それだけ。だからこそ、ぼくたちはこの星を大切にしなきゃいけない。それが、宇宙を知るってことの第一歩なんだよ。

その言葉に、しんのすけがふわっと伸びをした。

しんのすけ 01
しんのすけ

にゃあ…それってつまり、おうちがすごいってことだにゃ

ふっと笑った天の川さんは、こう続けた。

天の川教授 01
天の川教授

地球。それはね――ぼくたちにとって、かけがえのない奇跡の星なんだ。

地球はわたしたちの唯一の居場所

外では、潮の音が静かに響いていた。空には満天の星、そしてどこまでも広がる夜の大気。そのなかで、私たちは呼吸をして、笑って、泣いて、生きている。火もつけられる――そんな日常が当たり前にあるこの星は、宇宙のなかでほんとうにできすぎなくらい、整っている場所だった。

たくさんの色、たくさんの命、そしてやさしい空。地球は、私たちがいまこの瞬間に立っている、唯一の居場所なのかもしれない。空から見れば、たったひとつの青い星。だけどここには、今日も誰かの夢があって、誰かの大切な一日がある。

だからこそ、私たちはこの星を大事にしなくちゃいけないんだ。

地球―宇宙の不思議を子どもと楽しむ物語

糸島の観測スポット:可也山(かやさん)展望所

展望台にたどり着くと、目の前には絶景が広がります。夕暮れどきには、空のグラデーションが地球の丸みにそって染まっていく様子がはっきりと見え、「地球って丸いんだな」と実感できる特別な時間が流れます。星空や月もよく見え、流星群の時期には空一面に星のシャワーが降り注ぐことも。自然の中で“今、自分がこの星の上に立っている”という感覚を深く味わえる場所です。

※中級者向けの登山コースとなりますので、登山靴・ライト・水分のご用意を忘れずに。